第7章 諦め切れない
裕斗side
「……瑞希……どうしちゃったのかな……」
圭が心配そうに俯く。
瑞希は急に涙を流して出ていってしまった。
「……俺……行ってくる……」
「え、裕くん?」
「お前、また瑞希に何かしたのか?」
真広が俺を睨みつけてくる。
久しぶりにその目を見た。
1回目はあいつが倒れた時。
真広は仲間思いだ。
昔から。
だからリーダーになるのも文句無かった。
「……たぶん。」
真広の質問にそう返し、瑞希の後を追った。
バルコニーに向かうと瑞希が外を眺めていた。
「瑞希!」
俺の声に反応して瑞希が振り向く。
振り向いた瑞希は涙を流していた。
「裕斗君……?」
夜景の光に照らされた瑞希の顔は美しくて……
俺の体は勝手に瑞希の元に歩み寄っていた。
そして、瑞希の頬を両手で包み唇にキスをしていた。
諦める……
グループのため
ファンのため
瑞希のため
そう決めたはずだ。
けど……諦めるとか……
今更出来ねぇよ……
もう手遅れだ。
俺は瑞希が好きだ。
大好きだ。
瑞希の全部が欲しい。