第2章 命の価値
あれから二人して随分と酒を飲んだ
他愛の無い会話でも笑いの絶えないひと時
「ところでよ、あんたはなんでこの仕事を選んだ?」
ぐびっと酒を喉に流し込むと男が言った
その質問に少し黙る
正直この仕事に対してなんの感情も抱いていなかったのだ
少し考えて口を開く
「そうですね…
求められる事で少しでもこの世に留まりたいから。」
はそう言ってゆっくりと男を見つめた
静かな時間が流れる、がは少し噴き出すように笑うと口を開く
「なんて、わたしったらお客様相手になんてことを…
今の忘れて下さい。」
一瞬見せた暗い表情
それを男は見逃さない
「おい、生き急いじゃいけねぇ。
あんたが思っているよりも命の価値ってのはうんと高いもんだ。
もっと世界を見ろ、。」
「……ッ!!」
驚いた
こんな事言われたのは生まれて初めてだったから
あたしの命にも価値はあるの?
「あぁー、、いや、悪りぃ。なんか熱くなっちまって…
ほら!飲み直しだ。」
「あの、、、」
は震える声を振り絞り男を見る
「あなたの、名前…教えて?」
まだ出会って間も無い目の前の男をただ知りたいと思った
自分の知ってる男のどれにも当てはまらない…
純粋な瞳に優しい笑顔、嘘偽りを感じない力強い言葉
もっと違う事を言われるのかと思ったのか男はその質問に大笑いする
「ったくお前、そんな深刻な顔するから何かと思ったら名前が知りたかったのか?
ほんと、変な女だな。」
しばらく笑った後、男は改めてを見る
「……………」
そして、
「俺はエース。海賊だ。」
まっすぐの瞳を見据えて言った