第6章 ※焦らす唇(微裏)
心地良い感覚に意識が戻る
いつの間にか眠っていたようだ
心地良さの原因は誰かに頭を撫でられいるからだった
はそっと目を開ける
「………うそ。」
「なんだ、やっと起きたか。」
ククっと笑う目の前の男
そこにはあの意地悪な笑みを浮かべるローの姿があった
は慌てて飛び起きる
「ご、ごめんなさい!!
わたし眠ってしまってたんですね、
起こしてくれたらよかったのに…」
「なんだ、起こしてよかったのか。」
「えッ!?」
思わぬ言葉に驚く
「起こしていいです!
だって、その…せっかくお金を払って来て下さったのに
眠ってしまったぶんはわたしが立て替えますから。」
「落ち着け。」
ローは焦るがおかしかったのか小さく笑うとベッドを降りる
そしていつものようにソファーに座りに合図するように指をクイっと曲げて呼んだ
は黙ってローの隣へ向かうと
ローが気に入ったあの酒を作りながら冷静になった脳をフル回転させる
(…ローさん、来てくれたんだ)
そして冷静になればなるほど心臓の鼓動がドクドクと脈打ち出した
ローは横目でのその光景を楽しむかのように眺めていた
しばらく酒を飲んだ後ローはすっとの腰に手を回し軽く引き寄せると耳元で囁く
「心拍数が高いが…どうかしたか?」
ゾクリと背筋が震えた
何も言葉が出ない
「クク、そう固まるな…楽にしろ。」
腰に回した腕をゆっくり上へと動かす、
脇腹、腕、首筋、そして人差し指をつぅーっと伝わせ唇をなぞった
はたったそれだけの行為に無意識に身体をビクつかせぎゅうっと目を閉じる
「へぇ…男を知ってるくせに良い反応だ。」
「…、んっ。」
自分でも驚いた
こんなもどかしい気持ちになるのは初めてだったのだ