第6章 ※焦らす唇(微裏)
ふと頭をよぎるのはローの事
何故こんなにも自分の心に入り込んで来るのだろうか
その日もいつも通り何人ものお客と肌を重ねた
時計は深夜を回る。次が最後のお客だろう
まだローの姿は無かった
でも少しだけこれから向かう最後のお客が待つ部屋への期待が高まる
もしかしたらローかもしれない…と。
ふと昨日のローからのキスを思い出してしまった
優しく触れるだけのキス
ローの唇が触れた頬や耳がジンと熱くなった気がした
最後のお客の相手をしに部屋へ向かうと
まだお客の姿は無かった
「……わたし、どうしたのかな。」
何故かほんの少しだけガッカリとした気分になるが
またお客からクレームが入ると大変だ
気持ちを切り替えお酒などの準備をしながら待つ事にした
部屋に入ってもう30分が過ぎる
いつまでたっても誰も入って来ない
疲れていたはゴロンとベッドに横になった
そして知らぬ間に眠ってしまった