第5章 余裕の笑み
「俺もそいつと同じで手を出さねェと思ったか?」
ジリジリと距離を詰める
ローはを舐めるような目付きで見下ろした
「いえ、そういうわけじゃ…」
誤解を解こうと必死に言葉を探す
しかし何を言っても無駄だと感じた
それと同時に自分のしでかした失態を深く反省した
今、目の前にいるのはエースではない
ローに不愉快な思いをさせてしまったのは気が緩んだ証拠だ
しかしローは意外にも気を悪くした様子は見せず
少し面白がったような意地悪い笑みを浮かべいた
「俺を他の男と同じだと思うな
今から解らせてやるよ…」
そう言ってローはの耳へキスを落とす
そのままねっとりと耳へ愛撫を始めた
ちゅっと鳴るリップ音と息遣い
くすぐったいような変なもどかしい気持ちになる
ローはそのまま目尻へと唇を寄せ、おでこに、そして頬へとキスを降らせた
何故か唇には触れない
は初めての行為にただ目を閉じて耐えることしか出来なかった
「、」
不意に耳元で名前を呼ばれ目を開く
すると余裕の笑みでこちらを身下ろすローと目が合った
「お前、自分から触れて欲しいと思った事があるか?」
ローの質問にしばらく考えてみる
「ない、です…」
求められる仕事だからか、自分からそんな事思ったことがなかった