第5章 余裕の笑み
しばらくしてバスローブ姿のローが戻って来た
その頃にはも冷静さを取り戻し
いつものように対応する
ローは特に怒った様子もなく
また先程のようにの作った酒を飲み始めた
もう時間はあと数十分
この人はいったい何をしに来たのか
「先程はわたしの不注意で服を汚してしまってゴメンなさい
あの、、」
「俺が何しに来たのかと言いたいんだろ?」
の言葉を遮りローが言った
黙って頷く
グラスに残った酒を飲み干し
カランと氷がグラスに当たる音が響く
「俺もわからねェ。」
「…は?」
まさかの答えに思わずは間抜けな声を出してしまった
そんなを見てローは軽く笑う
「その方がいい。
硬い口調はやめとけ。」
威圧感のないローの表情に何故か嬉しく思った
たった一瞬、
なんだか初めてお互いが素に近い自分で接し合えた気がした
そしてこのホッとするような時間にエースを思い出す
「昔もこんな事が一度だけありました。」
「………」
の言葉にローは黙って耳を貸す
「身体を求めてここに来るはずなのに
…彼は身体ではなくわたしとの時間を求めてここに来てくれたんです。」
懐かしむような、初めて見せるその柔らかいの表情
「その男と俺を重ねて見てるのか?」
「え…」
ローの低い声色には顔を上げる
ゆっくりとに近付きローはソファーにを押し倒した