第4章 掴めない男
支度を済ませたは仕事へと向かった
「失礼致します
です………あ、」
「よう、随分と人気があるみてェだな。」
お客の待つ部屋へと入った
そこにいたのはトラファルガー・ローだった
「本当にいらして下さったのですね。」
一瞬驚いたものの、やはり動じる事なくいつもの笑顔で言う
これはあくまでも仕事
いつも通り淡々とした様子で部屋へと入りローに一礼した
「昨日の酒を作れ。」
は少し考える
そして、きっとあの輪切りレモンを入れた物かとすぐ理解した
手際よくささっとグラスに酒を注ぐ
「どうぞ、お待たせ致しました。
嬉しいです。気に入って下さったのですね。」
すっと差し出されたグラスを受け取りローはそれを身体に流し込んだ
10分、20分、、時間は進む
気付けばローのいるこの部屋に来て40分ほどが過ぎた
昨日の続きをしに来たのだとばかり思っていたは何も手を出して来ないローに疑問が浮かぶ
ただひたすら酒を注ぐ、殆んど会話がない不思議な時間
するとローはククっと小さく笑うと沈黙を破る
「手を出さねェのがそんなに不思議か?」
まるでの頭の中を見透かしたかのような言葉に驚いたは酒がまだ残っているボトルを思わず倒してしまった