第4章 掴めない男
溢れた酒がローの着ているパーカーを濡らした
「あ!ゴメンなさい‼︎」
は慌てておしぼりで拭こうと手を伸ばす
しかし、その腕をがっしりと掴まれてしまった
思わずローの方へと顔を向ける
ローはニヤリと口角を上げ身下ろすようにこちらを見ていた
拳3つ分ほどの至近距離
まじまじと見たその容姿に何故か心臓の鼓動が早まってしまう
整った目鼻立ち、不気味な隈も全て彼の魅力を引き立たせているように思えた
「おい。」
ローの声で我に返る
まさか見惚れてしまっていたとは
はそんな自分に驚いたが慌ててもう一度彼に謝った
ローは濡れたパーカーを脱ぎ捨てるとそのままシャワー室へと行ってしまった
酒に濡れたテーブルを綺麗にし新しいグラスに同じ酒を作る
は先程の間近で見たローの表情が頭にこべりついて離れなかった