第4章 掴めない男
いつも通りの朝を迎える
朝、と言っても空は夕陽に照らされオレンジ色に染まっている
ふと昨日のあの男を思い出した…
鋭い目付きに不気味な目の下にある隈
店主からはくれぐれも機嫌を損ねるな、精一杯奉仕しろと言われたが自分から言わせれば客は客
全てはお金の上での関係なのだ
実際、その男は今まで相手をしてきたお客の中でも群を抜いて何か特別なオーラを放っているのが肌で感じるほどだったし、何も話さずこちらの動きを伺っていたのは
きっと自分がどのような女か見定めていたのだろうと思う
にはこの仕事を長く続けて身についた唯一の特技があった
瞬時に相手の望む対応で接する事
お喋りで自慢ばかりするお客は大抵褒められたいというタイプが多い
そんな客にはこれでもかと褒めこちらからどんどん質問をする
緊張してうまく話せないお客にはそっと身体に触れ
緊張を解きながらリードしてあげる
あからさまに身体を目的としたお客には
少し大胆にこちらも身体を擦り寄せて対応する
男はみんな単純で、欲を満たす為には何だったするのだ
だからこそ上手く転がし男の脳を自分でいっぱいにしてやる…
時間の限り男の望む女を演じ、欲を浴びてやる代わりにお金を貰う
何も感じない行為にも感じるふりをして甘い声で虜にする
しかし昨日の男は少し違った
冷めた目付き、女を女として見ていないような…
きっとただの欲を吐き出す道具くらいにしか思っていないのかも知れない
後で店主に聞いた話しだが、
彼はハートの海賊団の船長
トラファルガー・ロー
別名【死の外科医】との異名を持つ
最悪の世代のうちの一人、億越えルーキーらしぃ
そんな人がどうしてあんなに寂しそうな目をしていたのだろうか…