第3章 理想の関係
いつの間にか客は自分一人
隣にはせっせと空いたグラスに酒をつぐ女
「ねぇ船長さん、そろそろあたし達も場所を変えない?
あなたみたいな色男ならお金はいらないよ…
お願い、もう我慢出来ないの…
あたしに触れて。」
女はそう言うとローの手を自らの胸に押し当てた
「…………」
火照った顔で物欲しそうにローを見つめる女
グイグイと身体を摺り寄せねだってくる
「・・・・うぜぇ。」
「え?」
ローは痺れを切らし女を振り払った
「お前みてェな女に興味は湧かねェ。消えろ…
それとも殺すか?」
殺気立つローの視線に女は震え腰を抜かす
ローは先程の女の言葉が気に食わなかった
”あんたのような色男ならお金はいらない”
面倒な関係はごめんだ…
それに自分をそういう風に見て来る女にはもううんざりだった
すると店の店主が慌てて駆け寄って来る
「すまねぇ船長さん、こいつには後でしっかり言って聞かせる。
こいつはあんたのような完璧な男見た事が無かったんだ、
どうか気を悪くしねぇでくれ…」
店主は必死に頭を下げた
そして怯えて涙を流すその女を裏へ戻るよう指示を出す
完璧な男…
一体自分のどこを見てそう思ったのか
ローはクイっと酒を喉に流し込んだ
「船長さん、丁度うちのNo.1が今空いたところだ。
酒も足りないようならいくらでも出す、もちろん金はいらねぇ。
どうか許してもらえねぇだろうか…」
怯える店主が言う
「構わねぇ。女の部屋に酒を用意しろ。」
その言葉に店主は慌てて酒瓶を抱えて部屋の準備に取り掛かる
別にNo.1の女だろうが無料で酒を飲めようがローにはどうでもよかった
この空いた心はそんなものでは到底埋まらない
準備が出来たと店主はローの元へやって来る
案内されるがままにローはそのNo.1の女が待つ部屋へと向かった