第2章 第1話
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渡された紙を読んだ。
『心配をかけてすみません。
メモ帳を拾ってくれてありがとうございました。』
綺麗な、それでいて
小さい、すぐにでも消えてしまいそうな、
儚い字だった。
なぜ紙に書いたのかな……
そうこう考えていると、
『では』とでも言っているように
彼女は軽くお辞儀をし、前を向いた
ーー字は、人の心を写す
どこかで聞いたような、
そんな言葉が脳裏をよぎった
「ま、待って!」
何故だかわからないけど、彼女を呼び止めてしまった。
すると、
ふわり、と、髪をなびかせ、
俺の方を向いた。
黒い髪は、薄ピンクの桜の花びらによく映える
白く、透き通った肌は、今にも消えそうで、
儚くて
「……綺麗」
ぽつり、と気がつけば言っていた。
何故、彼女を呼び止めたか
なぜか…
何度も自問して、
俺は、
『助けたい』
何故かはわからないけど、
そう、思った。