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透明な声に、色彩を

第3章 第2話




ーここは、文字の世界



俺は、「これ、夢か」なんて思いながらその世界を歩き続けた









初めは、俺が本を好きすぎるからこんな文字だらけの世界にいるのだと思っていたけれど、これは違う









俺は知っていた


この儚く繊細な筆跡を











真っ白で、真っ黒な世界







まるで、時が止まっているかのような、


色を無くしてしまった、キャンパスと筆










『今日は、高校生活1日目。緊張するけど、友達が出来るようにたくさん喋る!』





ふと、その文字に足が止まる





これを見るに、まだこの時は声が出ていたことがわかる







『何が悪かったんだろう。私がいじめられている子を助けたのが悪い…?ううん、私は悪くない。私は当たり前のことをしただけ。明日になったらきっと、きっと…』


『最近、なんだかみんなが私を笑っている気がする。くすくす、くすくすと。なんだろう、居心地が悪い。』


『高校生活が始まって7ヶ月が経って、私はいじめられているのだと、受け入れてしまった。』


『毎日が辛いけれど、お父さんとお母さんが寄り添ってくれているから頑張っていける。私は、絶対に負けない。』







日記を読みながら歩き続けると、真っ白な背景から、グラデーションのように黒くなっていく







『家が、燃えていた』









なんとも淡白な字で書かれていた









『お父さんとお母さんが、いない。唯一の私の平穏が、なくなった。もう、心が壊れそう』



『高校2年になった。いじめはまだ続いている。私って、何で生きているんだろう』



『助けて、助けて』


『死にたい』

『死にたくない』

『死にたい』

『なんで誰もいないの、なんで、なんで、なんで、私には、誰も…。』

『ねえ、誰でもいいから、助けてよ』








その瞬間、一気に真っ黒な背景になり、そこに真っ白な文字が浮かび上がる








































『声を、失いました』














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