第3章 第2話
………夢を、みていた
ふわふわして、あたたかくて、とても心地よい
例えるなら、若葉と若葉の間を潜り抜けて
小さくても、確かな光と暖かさを与えてくれる木漏れ日の中にいるような…
ふわふわしている風。
春の爽やかな風の中、私は眠っていて
1人で眠っているはずなのに、隣には必ず誰かがいる安心感と切なさ
…私は、この世界を知っている。
ううん、これは私の愛する世界
この世界全てを、私は愛している
『緑が好き』と世界は言った
柔らかな、陽だまりの香りがする世界
私に、小さくても確かな光と暖かさをくれた、世界
世界は、あなた。
春の風が、あなたを連れてきてくれた
そして私に、『春』を連れてきた
……あぁ、何かが込み上げてくる
確かにある、幸せな鼓動を感じて
私は、木漏れ日を、光を、
ー飲み込んだ