第3章 第2話
「優愛…」
名前を呼ばれながら、さらりと髪を撫でられる。
「……っ」
ぴくり、肩が揺れた。
ちらり、壮馬くんを見ると、切なさと、申し訳なさが伝わってきた。
(………さすがに、子供すぎたかも。)
「…ごめんね、今日…」
壮馬くんの気持ちは充分伝わってきたから、と首を横に振る。
「何か、俺にして欲しいことない?」
窓の外を見ると、少し橙色になり始めた頃だった。
…まだ、時間はある
くるくると私の髪をいじっていた壮馬くんの手を掴み、
すり、と頬を寄せた。
「…え、ちょ」
すらすらと文字を綴り、壮馬くんに渡す。
「…俺の家に、行きたい…?」
声に出して読んだ後、少し驚いた顔して私を見る壮馬くんに、ふわりと笑ってみせた。