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透明な声に、色彩を

第3章 第2話



「じゃあ壮馬、この日に録るから来てよ」
「はいよー。優愛ー…」



なっちゃんが部屋を出ていくのを確認し、
優愛の方を向くと、
体育座りで小さく縮こまって、膝に顔を埋めていた。



「……優愛…?」



どうしたのだろうと、様子を伺いながらゆっくり近づく。



「…!」




震えている。


微かにだが、息遣いも身体も震えているような気がした。





「優愛!!」
「っ!!」



俺が名前を呼ぶと、ビクリと大きく身体を跳ねさせた。
そして、ゆっくりと顔をあげる。




「大丈夫?……泣いてるの…?」



そう問うと、目線を合わせたまま首をふるふると横に振る。



「え、いやでも……涙が…」



そう言っても、ムキになっているのか首を横に振る。



「……………」



ものすごく不謹慎だけれど、かわいい、と思ってしまった。




「……えっと、優愛さん??」



何もしてこなくてお手上げ状態の時にそう聞くと、
さらさらとペンを走らせ俺に手渡す。




『私、今日楽しくなかったです。』
「……………」





……そうだ。


今日は俺となっちゃんの用事で、
俺が会いたいからって無理矢理連れてきちゃって…





(…その上放置……)





優愛に言われるまで気づかなかった俺、馬鹿すぎる。

そりゃそうだ。
俺たちが楽しくしてる中、後ろでぽつんと見ていたんだ。




「…………ごめん。」


俺が素直に謝ると、またペンを走らせた。





『…じゃあ、構ってください。』

「…え」

「壮馬ー!お菓子持って…」



めちゃくちゃ良い雰囲気の所に勢いよく扉を開けてきたなっちゃん。
…おい、まじか。



「なっちゃん入ってこないで。そっちいってて」
「え、ちょ、俺の部屋」



バタン。


ごめんよなっちゃん。あとで何か奢ってあげるから。




「………優愛」





名前呼ぶと、上目遣いでこちらを見る。
そして、少しふくれっ面だ。





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