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透明な声に、色彩を

第2章 第1話


「梅ちゃん…?」


「そーいえば、一緒に出るんじゃなかったの?」


「…はっ!忘れてた」



ばたばたと騒がしく用意をし始めた。
洗面所を出ていった壮馬くんに少々ついていけなく、固まっていると、
ひょこっと遠慮がちに入ってきた優愛さん。

…可愛い

「…どうしたの?」


『用意終わって、暇だったので。』


こてん、と首を傾げて紙を差し出される。



「…狙ってる?」

きょとん、と、また首を傾げる。

それだよ、それ


「…優愛さんはさ、もっと、自分に自信持ってもいいと思うよ。」

「……」


こんなこと、お節介かもしれないけど。
でも、二人のこと応援するって決めたから



「優愛さんは、前だけ見てればいいよ。
…過去に何があったかは、もちろん知らないけどさ、」


1歩、優愛さんに近づく。


俯いていて、顔は見えない。

だから、頭を優しく撫でた


…こっちを向いてほしいと。






目が合う

綺麗で、真っ直ぐな瞳







「だからさ、なんていうか……さ、壮馬くんにも相談できないことあったら、俺を頼って。」


「…?」







蓋をしろ


この気持ちに











「例えば、壮馬くんのこととか、ね。」








顔を赤く染め、潤む瞳で見つめる君は

なんて純粋な心を持っているのだろう、と
羨ましくも思った








「ごめんね!遅くなった!」


すごい勢いで飛び出てきた壮馬くんに、びくりと肩を震わせる優愛さん。





「……なんで頭撫でてんの?」

「ああ、寝癖がついてたからなおしてたんだよ」


何でもなかったかのようにサラッと言う俺に何も違和感を感じなかったみたいで、
「ごめんね、行こっか」と俺が見たことのない、優しい微笑みでそう言う壮馬くん。








「いってらっしゃい」





「いってきまーす」

壮馬くんはすぐに俺がいつも見るような笑顔でそういって、

優愛さんはにこりと微笑んで、小さく手を振る。





ガチャン……





静かにドアが閉まり、再び沈黙が訪れる。


「さて、2人を起こすか」














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