• テキストサイズ

透明な声に、色彩を

第2章 第1話



しゃこしゃこ、と重い瞼をよそに歯を磨いてる最中


「梅ちゃん!」


予期せぬ壮馬くんの登場にむせそうになった。


「ごほっ……なに」



「……あのさ、俺昨日……何かしてた?」



「………?酒、飲んでたね」


「で?」


「酔ってたね」


「……で?」




…これは、言ってもいいのだろうか


「梅ちゃん、俺は何でも受け止めるよ。だから、さぁ!」


「……えーっ、と……」


あまりに真剣な顔をして俺の言葉を待ってる壮馬くんに耐えきれなくなり、歯磨きを済ませ、口をゆすぎ、顔を洗い、壮馬くんへと向き直った。





「キス、してた」


「そっか、キス……キス!?」




「…うん、それはもう濃厚な」

「あぁあ〜!もうそれ以上は言わなくていい!!いいから!」



顔を真っ赤にして俺を止める壮馬くんに笑ってしまう。


「なんてことしてんだよ俺…!」


いきなり自分を批難し始めた壮馬くんの顔を覗き込み、

「壮馬くん?どした?」


と聞くと、




「……俺、あの子を大事にしたいって、思ってたのに」







……あぁ、きっと優愛さんはたとえ俺が最初に出会ったとしても…





壮馬くんを選ぶんだろう









そして壮馬くんもまた、彼女以外を選ばないのだろう








応援をしたいと思った。







そして、自分の中に芽生え始めた気持ちに蓋をした。
硬い、硬い瓶のようなものに入れて。






「壮馬くん、頑張れ」






気づいたらそう、言っていた。









/ 49ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp