第2章 第1話
「優愛って、早起き出来るんだね。出来なそうな顔してるのに」
『どんな顔ですか』
少し怒ったように紙を見せると、壮馬くんはごめんごめん、とまったく反省していないように謝った。
まったく…まぁそういうところも好きなんですけどね、と思いながら、食パンをとり、口に入れる。
甘い、苺のジャムが口に広がり、心を満たしていく。
「美味しそうに食べるね〜」
クスクスと笑いながらコーヒーを少しずつ飲む壮馬くん。
「……!」
昨日の、壮馬くんがお酒を飲むときを思い出した。
こくり、こくりとゆっくり動く喉仏は、なんとも言えない色気があった。
そして、酔った壮馬くんに………
「〜〜!!!!」
キス、したんだ。
昨日のことを思い出し、一気に身体中が熱くなった。
「…え、なんか顔赤くない?え、どした?」
結構本気で戸惑っている壮馬くんに、申し訳ないと分かってても可愛いと思ってしまう。
「…熱……?」
私のおでこを触ろうとしたのか、顔を近づける。
「……っ!」
どうしても昨日のキスを思い出してしまい、顔を反射的に逸らしてしまう。
「……えっと、さ」
急に申し訳なさそうな顔をして、細々と呟く
「…俺、昨日酔っちゃってて覚えてないんだけど……もしかして、もしかしなくても……なんかしちゃった…かな?」
顔はこっちを見てるのに目線は横を見てる壮馬くんを見て、なんだか小さい子が反省している時のような感じがして笑いそうになってしまった。
「……えっと、いい雰囲気なところごめん。おはよう」
なんとも言えない雰囲気に、爽やかで落ち着いた声が響く。
「う、梅ちゃん!お、おはよう!」
おはようございます、という意を込めて小さくお辞儀をした。
「うん、おはよう。」
小さく微笑んで、お手洗い場に行った。
「…ちょっと、先用意してて?」
そう、優しく微笑んで、壮馬くんもお手洗い場にいった。