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透明な声に、色彩を

第2章 第1話


どきん、どきん……

(……心臓、うるさい…)

そばにあるのは、微かなお酒の匂い
壮馬さんの、香り
暖かく、優しい、包み込むような壮馬さんの包容力と、身体

……すき

言ってしまいたい。
この2文字。
でも、言えない


「……っ」

もどかしい。
もどかしくて、悔しくて、壮馬さんを抱きしめる手を少し強めた
壮馬さんはそれに気づいたのか、さらに強く、でも優しく抱きしめた

「…俺、変……なのか…も」

心なしか、壮馬さんの声が少し弱まっている気がした

「……会った…ばかり、なの、に……こんな…」


すると、さっきまでの力はどこへいったのか、ずるずると手が滑り落ちていった

「…すーー……すー…」

聞こえてきたのは、規則正しい呼吸音
甘えた子供のように寝ている壮馬さんの髪はとても柔らかそうで

(…触りたい)

さら…と優しく壮馬さんの髪を撫でた

「……」

愛しい


いつか、紙でじゃなくて、ちゃんと、
ちゃんと自分の声で、伝えたい

でも、いつなのか。そんな日が来るのは。
そんな日が来るのだろうか。


「……っ!」

このまま考え続けていたら壊れそうだと思い、壮馬さんを起こさないように静かに立ち、ドアを開けて寝室から出た。

ふう、と一息つく

「……優愛さん?」

低く、どこか爽やかな声が聞こえた

顔を上げると、壮馬さんとはまた違う、顔の整った人
梅原さんだった

「えっと…腰、とか痛くない?」
「……⁉︎」

その爽やかな人が喋っているとは思えない衝撃的な発言で驚いてしまった
というか、絶対勘違いしてる…!

間違いを訂正しようと必死に首を横に振る

「あ、そうなの?」

よかった、わかってくれた…

「壮馬くんはやっぱり優しくするんだね」
わかってくれてない!

『あの、梅原さんが想像してるようなことはしてないです…!』

とにかく早く間違いを訂正したくて、ペンを走らせて梅原さんに見せた

「なんだ、やってないのか」

なんだ、って…

「まあ、立ち話もなんだし、あっちいこうか」

爽やかな微笑みを浮かべ、そう言った











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