第2章 第1話
後ろは壁
前は壮馬さん
左右には壮馬さんの両手
逃げられなくなってしまった
「……ねぇ、優愛さん…」
突然名前を呼ばれ、壮馬さんの顔をみた
目は熱っぽく、私を捉えて離さない。
「……まだ、あってばっか…だけど…たよって、ほしい」
「……!」
ふわりと微笑んで、壮馬さんの視線は下へさがった
……あぁ、敵わないな、壮馬さんには。
私の視線もさげ、壮馬さんの唇を見た
付き合ってもいないのに、こんなこと。
今日会ったばかりなのに、こんなこと。
ちゅ……
……お酒の、味
お酒の、匂い
…壮馬さんの、香り
柔らかく、暖かい、唇
ただ酔っていてしたのか。
それとも……
「…っ」
「……ね、もいっかい」
そう求められ、また、さっきよりも長いキスをした
どきんどきん、とあわただしく動く私の心臓。
物欲しそうに私を見る、壮馬さんの潤んだ瞳。
また、吸い寄せられるように角度を変えてキスをした
また離れて、またキスをする
それを何度か繰り返していた。夢中に。
「……っ」
そっか、好きなんだ
壮馬さんのことが。
いつの間にか、壮馬さんの両手は私の両手に絡みついていた
(あ、これ、知ってる…恋人繋ぎっていうやつ…)
ずっとキスをしていて、頭がボーッとなりだしたころ
「ストーーップ!!!!」
べりっ!という効果音がつきそうなほどに引き剥がしたのは、江口さんだった
「君たち、そーゆーのはベッドでやんなさいよ!」
そう言い、私と壮馬さんの手を引っ張り、寝室へと投げ出された
そして、ガチャン!と勢いよく閉められた
「……っ?」
えっと、これはまずいんじゃ
「あれ、ここどこ?」
ぼーっと辺りを見回している壮馬さん
…可愛い
「……優愛さん、おいで」
ぽんぽんとベッドに座り、隣を叩く
「…っ」
行っていいものなのか。
行ってしまったら…壮馬さんに…
…何を考えているんだ、自分は
ふう、と深呼吸をした
そして、ゆっくりとベッドに腰掛けた
あ、ふかふか…
すると、突然壮馬さんに抱きしめられた