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透明な声に、色彩を

第2章 第1話


「あっ、壮馬と彼女ちゃん来た」
「壮馬くんと彼女さんは何してたんでしょーねー」

にやにや、と花江さん。
爽やかな笑顔の梅原さん。

「あれっ、もしかして自己紹介してないの俺だけ?」
「いや、江口さんはもう何も言わなくていいですよ」
「おいそーま、そりゃねーだろぉ!」

思わず、笑ってしまった

「……可愛いね」
「ちょっ、梅ちゃん⁉︎」
「さすが天然タラシ」
「あ、俺壮馬の先輩の江口拓也です、よろしくね」

ぺこりとお辞儀をした

「……っ」

あ、そういえば名前…
私だけ言ってない

『春之優愛と言います、よろしくお願いします』

そう書いて渡した

3人は何かを察したように「よろしくね」と、暖かい笑顔で私を受け入れてくれた

「……っ」

ああ、

「……優愛さん?」

やっぱりいい人には、いい人しか寄ってこないのだろうか

私は咄嗟に壮馬さんの顔を見つめ、


「………」


と言った
伝わっただろうか、口の動きだけで
伝わってほしい

「優愛さん……」

「おいそーまー!酒持って来たからのもーぜー」
「壮馬ー、アヒージョつくってー」
「壮馬くん、この観葉植物どこで買ったの?」

「あーもー、みんなしていっぺんに言わないで!てか今日俺と優愛さんの誕生日なんだよね?まあいいけどさ」

そう言って、また当然のように私の手を握った

「行こっか」

優しい、優しい微笑みは、
私の心の奥の方に深く染み込み、ゆっくりと溶かしていった


冷たい手。
私より少し大きい手。
前に聞いたことがある。手が冷たい人は心があったかいって。

そばにいるとわかる。
壮馬さんの隣は落ち着くんだ。



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