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透明な声に、色彩を

第2章 第1話


「あっ!!そーま来たぁ!!!」

「ちょっ、隣の人とかに迷惑かかるんで静かにしてくださいよっ!」
今開けるんで待っててください、と笑いながら言った

「君が壮馬の友達?俺、てっきり男が来るのかと思ってたよ」
笑顔が魅力的なメガネの人が少し驚いたように言った

「あ、ごめんね。俺、花江夏樹って言います。よろしくね」
よろしくお願いします、という意味を込めてお辞儀をした

「俺は梅原裕一郎です。よろしくお願いします」
ぺこ、とクールに挨拶された。でも、とてもいい人そうだ

また、ぺこりとお辞儀をした

「ちょっと、開いてるんだから入ってよ」
いつの間に部屋の中に入っていたのか、壮馬さんが出てきて、少し不機嫌そうに言った

「……あー、はいはい、ごめんね」

クスクスと笑いながら壮馬さんにそう言って部屋の中へ入って行った花江さん。続いて梅原さんも入って行った

私も続いて入った

…あ、壮馬さんの匂いだ。

そんなことを考えたら急に身体が硬くなって、緊張してきた
男の人の部屋に入るのも初めてだ

「……どうしたの?」

ずっと隣にいて私の異変に気付いたのか、心配そうな声色で聞いてきた
『男の人の部屋に入るのは初めてで』
そう書いて渡すと
「……ほんとにそれだけ?」
え、と思って咄嗟に壮馬さんの顔を見た
からかっているのか、少し黒い笑顔だった

「……っ…??」

慌てていると、壮馬さんは、ははっと笑ってごめんごめん、と言った

「ほらそーまはやく!主役いなくてどーすんだよ〜!」
「ああ、すみません!」

足早に居間へ向かう壮馬さんの服の裾を掴んで書いた紙を渡した

「…え」

『壮馬さんの部屋に緊張したんです』

照れ隠しで壮馬さんの方を向いて気の緩んだ笑い方をしてしまった
「…まじでさぁっ……」
ぼそりと顔を隠しながらそう言う壮馬さんの顔は、真っ赤だった



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