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透明な声に、色彩を

第2章 第1話


「急にごめんね」

苦笑しながらそう言う壮馬さん
何故連れてこられたのかわからなかったけど、とりあえず首を横に振った

「良かった」

ふわりと柔らかく笑ったとき、微かに柔らかい、爽やかでお日様のような香りがした
香水……?

『香水つけてるんですか?』
「香水…?いや、つけてないよ?」

きょとん、と私を見つめた

『いい香りがしたので、てっきりそうかと思いました』
「いい香り、か…」

すんすんと自分の服の匂いを嗅ぐ壮馬さんだったが、「自分じゃわかんないな」と、困ったように笑った


……あ、なんか…

「?…どうしたの?」

こてん、と子犬のように首を傾げた

……かわいい

『私、壮馬さんに女子力じゃ勝てませんね。』
「え⁉︎…いやいや、優愛さん女子なんだから!てかいきなりどうしたの!」

ほら、そうやって笑って
私の胸の奥を締め付ける

『私、壮馬さんの笑顔、好きですよ』

「…!…反則でしょ」

口を手で覆い、ぼそりと呟いていたが、なんと言っていたのかわからなかった

ふいに、壮馬さんの顔が近づいてきた
「……??」
整った顔が、直ぐ目の前にある
私の目を真っ直ぐに捉えながらも、少し熱っぽい瞳に引き込まれ、息を吸うのを忘れていた

そして、ふ、と艶っぽく微笑み、

「俺も、優愛さんの笑顔…すき」

「……!」


『すき』

その単語だけリピートしてしまう
きっと今の私の顔は真っ赤なのだろう、壮馬さんが私の顔を見てくすくす笑っている


「あ、着いたよ…はい」


何事もなかったかのように車を降り、私に右手を差し出した
その動作は、まるで何処かの国の王子様のようだった






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