第2章 第1話
ピルルルル…
その時、壮馬さんのスマホが鳴った。
「あっ、ごめん!」
慌てて電話に出る壮馬さん。
『そーーまぁーー⁈お前、なんで家にいねーんだよ!』
「ちょっ、逆になんで来てんですか!江口さん!!」
「?……??」
電話に出たかと思えば、いきなりの怒号。
いや、怒号……なのか?
ツッコミ、かな?壮馬さんなんか嬉しそうだし。
『俺もいるよー』
『壮馬くん、俺も』
「えっえっ、なっちゃんと梅ちゃんまで⁉︎なんで!」
なんか、壮馬さんってツッコミ入れてるんだけど、ずっと笑ってるよね…
そーゆー、心の広さが壮馬さんのいいところなのかも
『いやー、壮馬今日誕生日じゃん?で、ついでにオフって言ってたじゃん?しかも壮馬家から出ないじゃん?だから。』
「あ、なるほどーってなるか!!」
うん、やっぱり笑ってるな
てか、壮馬さんって案外ツッコミ役なんだ
『とりあえず早くかえってこーい。酒いっぱい持ってて重たいんだから』
それにしても、さすが声優さんだな。
電話なのに、私にまで声が聞こえてる…
電話の意味が…
「あー、うん、そうなんだけどさー…」
と、ふいに壮馬さんと目が合った。
あ、帰るのか。
私は、大丈夫ですよ、という意味を込めてコクリと頷いた。
けれど壮馬さんはなにか考え出した
あれ?どうしたんだろう…
「江口さん、ちょっと友達も一緒にいいですか?」
壮馬さん、友達と行くのか。
じゃあ、もうそろそろ出るだろうし、コップ片付けちゃおう。
二人ぶんのコップを台所へと持って行った。
壮馬さんがなにやら話しているが、台所からだとよく聞こえない。
そして、壮馬さんも台所へ来た。
あ、帰るのか。と思い、手を拭いた。
「行くよ」
急に言われ、上着を着せられ、カバンを持たされ、手首を掴まれ、引っ張られて行った。
「?????」
なんだなんだと思っていたその時、壮馬さんがタクシーを呼んだ。
「はい、乗って」
優しくエスコートされ、つい乗ってしまった。
これから、どこへ行くのだろうという不安と好奇心でいっぱいだった。