第26章 世の中大概金があれば上手くいくもんや。
理奈「・・むう・・・。」
未だに顔を赤くして車内から窓の外を睨む。
憲剛「ほら、お前もいつまで不貞腐れてんだ?元気出せよ。」
頭をくしゃりと撫でられ憲剛を見る。
理奈「だってさぁ。」
憲剛「それにお前はそれ以上の事されてるだろう。何人相手にしてんだ?・・そうだ。俺がマネージャーしてやろうか?」
ケラケラ笑う。
理奈「うっせぇわ。」
ワンパン食らわせようとしたが、
憲剛「おっと!」
簡単に止められてしまう。
憲剛「今運転中なんだ。あぶねぇだろ。」
ハンドルを両手で握り直す。
なかなか快適な運転である。
理奈「十二天将の人で自分で運転してる人初めて見た。」
憲剛「まあ。こうやってたまに運転しねえと忘れるからな。・・少し寄り道していくぞ。」
そう言って連れてこられたのは
理奈「階段長っ。」
憲剛「ああ。いろいろあってな。簡単に近付けねぇようになってんだ。登るぞ。」
踏み締める様に登っていく。
理奈「はぁはぁ・・長~。」
憲剛「もう少しだ。頑張れ。」
必死に足を上げ登り終わると巨大な入り口が現れる。
そこからは禍々しい空気が流れている。
理奈「不気味だねぇ。」
ポツリと呟いたが心の奥底が牽かれていくのを必死で抑え込む。
憲剛「一応見せておきたくてな。このなげきの台を。ここを通らなければ土御門島から禍野へはいけねぇ。その代わりに本土とは比べ物にならないくらい強い奴等がごまんといる。因みに俺らの家のもんが結界を24時間張っているんだ。出てこれないようにな。・・・お前もその内ここに入るぞ。だから、家に着いたらすぐ結界術の練習な。」
理奈「ちょっとは休もうぜ~。殺生や。」
憲剛「まぁ、そぉ言うなよ。お前の為だ。」
理奈の頭をぽんぽんと叩く。
憲剛「俺は少し話してくる。」
そう言い残し憲剛が離れる。
理奈「暇だにゃぁ。」
思ったより時間が掛かるらしい。何やらお偉いさんらしき人と話し込んでいる。
理奈(凄く・・・気になる。)
じっとゲートを見つめ、ゆっくりと近づいていく。
誰もまだ気付いていない。
ゲートの揺らいでいる場所を触ると何やら入れそうだ。
理奈(絶対・・・駄目・・なのに)
頭では分かっているのに体が言うことを聞かない。