第22章 館内はお静かにお願いします。
勘九郎「おはようっス。」
ガラガラとカートを引きながら中へと入ってくる。
理奈「んんっ。・・・もぉ朝?・・おはよ~。」
眠たい目を擦る。
勘九郎「もう既に9時過ぎてるっスよ。今日は簡単な検査位だから寝かせておいたっスけど、明日からは早めに起きてもらわないと。」
理奈「?なんかあんの?」
勘九郎「新さんとこに行って貰うっスよ。」
理奈「なんで?」
勘九郎「明日になれば分かるっス。今日は検査。心配なんで僕が直々にするっスよ。病院も休みっスから一日付き添えるス。」
にこりと笑う手には注射器が握られている。
理奈「勘弁して。」
逃げ惑うが入口にはきちんと結界が張ってありドアノブに触れる事さえ出来ない。
勘九郎「逃がさないっスよ。」
伸縮自在の手にはかなわない。簡単に捕まってしまう。
理奈「ひん。」
小さくふるふると震え涙目でこちらを上目使いで見てくれば勘九郎も思わずきゅんとしてくる。
勘九郎「はい。はい。動いちゃ駄目っスよ。」
理奈「ひっ・うっ!ああ。。」
ぎゅっと目を瞑り痛みに耐える。
体内に冷たい液が流れていくのが分かる。
勘九郎「ほら。全部入った。・・次、ついでに血とるっスよ~。」
スゥッと今度は抜けていく感覚が体をおそう。
理奈「ぎゃぁぁああ!血があっ!!」
勘九郎「ぷっ!あはははは。」
先程とのギャップで勘九郎が笑いだす。
ある程度採取すると針を抜き処置をする。
勘九郎「ほら、女子力。女子力。」
理奈「とっくに棄てたわ。」
勘九郎「さっきまであったじゃないスか。」
遠沈管に移しながら会話をする。
理奈「100歩譲って中に入るのは良いとして、抜かれるのは好きじゃない!いや、嫌いだ!して、その試験管みたいのに入っているのを見るのはもっと嫌だ!!」
遠沈管をゆび差す。
見ているだけでも気持ちが悪い。
勘九郎「今日はあとしないっスよ。」
苦笑いをし、カートを端においやる。
勘九郎「熱は?」
理奈の隣に座り問診が始まる。
理奈「ないよ・・・って、うわっ!」