第22章 館内はお静かにお願いします。
ピッピッピッピッー
理奈「んー。うるさい。」
電子音に起こされる。
白い天井。硬めのベッド。
体に付けられた心電図が病院であることを告げる。
理奈「ん~。頭痛い。」
ずきずきする頭を擦る
暗い部屋には誰も居ないようで何となく安心した。
理奈(バレたかなぁ?)
ぼんやりとうっすら見えたおかっぱの後ろ姿。
沢山の影に合唱される術式。
そしてー吸い込まれそうに美しい狐の姿ー
全て朧気で断片的で曖昧な記憶。
何かを話していたとは思うが聞き取りまでは出来てない。
理奈「あいつが太乙か・・・。」
体を見れば心電図に点滴、なにやら分からない機械までいろいろ付いている。
ブチブチと取り、ドアの前で手を伸ばせば結界に塞がれる。
理奈「ですよね。今度結界のぶっ壊し方でも聴いておかなきゃね。」
ベッドへ行くとナースコールを連打する。
ガチャー
「1回押せば充分スよ。」
パチッー
電気が付くとそこには白衣を着た勘九郎の姿があった。
理奈「勘九郎。・・・コスプレに目覚めた?」
勘九郎「一応ここの院長を勤めてるんでね。」
理奈に近付き聴診器をあてる。
理奈「・・・ねぇ。うちの中に何がいた?」
心音を聞く勘九郎に遠回しに問いかける。
勘九郎「僕らなんか足下にも及ばない立派な仙人様方スねぇ。・・・理奈も不老不死だとか。」
心拍が強く激しくなる。
理奈「ははは。やっぱりあいつは話したんだね。・・・自分でも気持ち悪いって思うよ。・・・勘九郎もそう思うよね。」
勘九郎「・・・そんなん気にしてたんスか?」
理奈「?」
勘九郎「流石に最初は驚いたし、戸惑いはあったっスけど。そんなんで嫌いにならないし、理奈は理奈であることに変わりはないっスょ。」
そう言い理奈の頭を撫でる。
もっと嫌われるかと思っていた。
もっと・・・
理奈「・ふっ・ううっ・・・」
涙がこぼれた。