第10章 夜這いにも順序がありまして。
チンー
部屋のある階へと到着し、とぼとぼと部屋の戸を開ける。
理奈「酷い目にあったー。」
部屋にあったドライヤーで乾かしバスタオルを新しいのと交換すれば少しは気分はすっきりする。
これで少しは勘九郎の戻りが遅くとも快適に過ごせそうだ。
冷蔵庫の水を失敬する。
理奈「本気で疲れた。勘九郎もお風呂だし、今のうちベッド借りよ~。」
引戸を開けクイーンベッドにダイブする。
真ん中がゴツゴツするが大方毛布辺りが真ん中に寄っているのだろう。
とりあえず出っ張りに抱き付く。
理奈「う~ん。寝心地悪~い。」
そう言いながらも頬擦りしていると
ゴンー
理奈「!?!」
頭に衝撃が走り身悶えるが、訳が分からない。
理奈「何で!?・え!?・ん?!何??」
きょろきょろと見渡すが視線が定まっていない。
漸く落ち着くと枕元で上半身を起こし握りこぶしを作り怒りのオーラ満開の男が居た。
理奈「・・誰!?夜這い?!」
清弦「ああ~?てめぇが部屋間違えたんだろぉ~?何言ってやがんだぁ~。それに誰?じゃねぇ。清弦だぁ。名前位覚えろぉ~。」
理奈「じゃ、・・じゃぁ勘九郎の部屋は?」
清弦「隣だ。」
理奈「・・・・てへっ」
某ケーキ屋のキャラクターの如く舌を出す。
それを見た清弦がまた拳を握った。
理奈「ってか鍵掛けないの?」
清弦「ここはホテルじゃねぇからなぁ。緊急時にしか入って来ねぇし、金なら皆腐る程あるから盗みもしねぇ~。ここに居る奴ら全員鍵なんか掛けねぇだろぉなぁ~。」
理奈「そのお陰でこっちはとばっちり喰らったぜ。」
清弦「間違えて入ってきたのはてめぇの方だろうがよぉ~。」
ちらりとバスタオルを羽織る体に目がいく。
清弦「それによぉ~。・・襲われたくなかったらさっさと戻れぇ~。お前が居ると調子が狂うかんなぁ~。」
追い払う様な手つきをする。
理奈「あら。それは誉め言葉と受け取ってもよろしくて?」
ニヤリと笑い清弦の頬を撫で挑発する。
清弦「変な任務出された身にもなってみろってんだぁ~。」
理奈「その当事者のうちの方が困ってるって。」
あからさまに嫌そうな顔をする。
清弦「お前も不憫なこっな。」
ポンポンと理奈の頭を叩く。