第6章 そいつはあかんやつや。
ガチャリー
有馬・理奈「あっ。」
窓に片足を掛ける理奈と有馬の目が合う。
勘九郎「鬼ごっこは終わりって言ったじゃないっスか。」
直ぐに勘九郎の爪が理奈を捕まえる。
溜め息と共にだるそうな声が後ろから聞こえた。
理奈「だーよねー。」
がっくりと項垂れた。
有馬「全く、油断も隙もないんだから。」
溜め息を洩らしながら理奈に近づく。
有馬「君が世界を異動しない方法は遺伝子だね?」
理奈の体がピクリと動く。
目を反らし口元がひきつっている。
理奈「そ・・・そんなことないよー」
完全に声が震えている。
勘九郎・有馬(分かりやすっ!!)
こちらが逆に焦るくらいだ。
観念したのかしてないのか動かせる足をバタバタさせ子供の様に駄々を捏ねる。
理奈「確かに!・・・確かにその通りさ!!ぇ・・・エッチな事して?中に出されれば?・・・その・・・せぃ・・しが死ぬまでの間は異動しない。って師・・・匠がぁ?」
顔が真っ赤である。
理奈「でも何かしようとしても逃げるからね?脱走は得意よ?早く召喚獣集めなきゃいけんし。」
有馬「君は召喚獣とやらを集めてどうする気なんだい?自分の意思ではないんだろ?そのわりに随分と積極的だねぇ。本当は自分がしたいんじゃないのかい?」
相変わらず有馬の言い方には毒がある。
理奈「うちは召喚獣をさっさと全部集めて、集めさしたやつぶん殴るんだ!・・・して産まれ育った場所に帰りたい。自分が何者なのかを知りたいの・・・」
いつの間にか抵抗を止めていた。
有馬「あんな弱いもの集めてなんになる?聞いたけどただコーデリアを転けさせただけじゃないか。見かけ倒しじゃこの先、生きていけないよ~?」
用心棒の事を言っているんだろう。流石に怒りでピクリと理奈の体が動く。
理奈「・・・言っとくけど彼らは強いよ?」
ゆっくりと有馬を見、静かに話す
理奈「バハムートならここ一帯は焼き尽くせる。用心棒も金さえあれば彼自信が動いてくれる。しかも一体にしか攻撃しない分攻撃力はかなりのもの。金さえ・・・金さえあれば・・・ふぐぅっ・・・」
最後の方は涙が混じった声だった。
流石に苦笑いするしかない。