第29章 買い物したい・・・家とか欲しい
清弦「天馬が禍野に行くんだぁ~。廻り番的に今日はど~せ俺がお前を泊めなきゃなんねぇんだろぉ~?旅館行くぞぉ~。・・なんで俺が・・・」
文句を良いながらもきちんと手を繋いで歩いてくれる清弦に自然と笑みがこぼれる。
清弦「ぁあ?何にやついてやがんだぁ~?」
後ろを振り返った清弦が理奈に尋ねる。
理奈「いや、なんでも~。清弦可愛いなぁと思って。」
清弦「何がだ。ガキがガキ扱いしてんじゃねぇ~!」
理奈「はいはい。」
やはり笑みが抑えられなくて左手で口許を隠す。
清弦「ったく。」
ふいっと前を向くと理奈を引っ張る様にして歩きだす。
暫く歩いていくと
清弦「ほら。着いたぞ~。」
立派な旅館の前だった。
理奈「うーわ。敷居高ぇ。」
臆する理奈を置き去りに清弦がスタスタと中へと入る。キョロキョロと中を眺めている内に手続きが終わったらしい。
清弦「ほら。行くぞ~。中で迷子になんじゃねぇぞぉ~。」
二人して接客係に続く。
接客係「こちらになります。」
案内され中に入れば広い客間に洗練された庭、そして露天風呂まで完備してある。
理奈「すげぇ!清弦。金持ち~!」
キラキラと輝いた目で外を見る。
清弦「お前のせいでだいぶ金が減ったがなぁ~。」
清弦も理奈の隣で庭を見ていたがすぐに客間に腰を降ろした。
清弦「ここなら話を聞かれる心配もねぇだろぉ~。」
理奈を見る。
理奈「・・そね。まず憲剛ん家からだね~。」
清弦の隣に座り、全ての流れを説明する。
理奈「・・・って感じ。勘九郎居なかったらヤバかったわ。」
清弦「勘九郎が来たのは憲剛の仕業だなぁ~。」
理奈「全く。死んでたらどうする・・・って。死なないから放置したのか?・・あいつ!!」
考えれば腹が立つ。
清弦「でも本当に死なねぇのかぁ~?」
理奈「知らん。普通に痛いし。・・そういや。爆弾でも巻き付ければ死ねると聞いたな。」
淋しそうに答える。
清弦「・・お前が死にたくなったら俺が殺してやるよ。」