第6章 望蜀之嘆【ボウショクーノータン】
その後も張型で散々啼かされたは遂に意識を手放し全身を弛緩させる。
それを見届けて張型を抜き出し未だにの目元を覆っている夜着を取り除けば、その瞳からは幾筋も涙が溢れ落ち睫毛を濡らしていた。
俺はそのままの隣に横たわり、ぐったりとした身体を抱き寄せて瞼に口付け呟いた。
「……愛している。」
何度も絶頂を繰り返し火照ったの身体を己の胸に抱けば、形容し難い幸福感が沸き上がる。
そんな想いに突き上げられていると、は無意識のまま仔猫が戯れ付く様に頬を俺の胸に擦り寄せて来た。
そしてその愛らしい唇から
「の……なが…さま。」
俺ではない男の名が紡がれる。
「くくっ……」
俺は一つ喉を鳴らし口角を上げるとを抱く腕に力を込め、もう僅かだけこの幸福に酔痴れようと瞼を閉じた。