第21章 Starting Over/ky
突然の爆弾発言で、口に含んだお酒を噴き出すとこだった
キヨ、酔ってる…訳ない
だってこれまだ一杯目だし
あの事件からひと月くらい経っている訳ですけど
その間何回も会ってますよね?
今更それ言っちゃう?
なかったことにしてくれる筈では?!
言葉にならない疑問を次々とぶつけながら、私の頭は目まぐるしく回転する
キスしたこと、やっぱり怒ってる…?
「え…?何のこと…?」
笑えるくらいバレバレな誤魔化し方
目が泳いでるのが自分でもわかる
下手くそか私
ま、そのくらい動揺してるわけで
挙動不審な私を尻目にキヨはふぅっと息を吐くと、背を正し、私へ向き直る
いつになく真剣さが伝わる瞳に、思わず胸がトクンと波打つ
「ごめん…酔っ払う前にハッキリさせときたくて」
そう言うと、キヨの頰が少しだけ赤くなった
……え?
なに…?
「俺、実はさ…その……」
俯いて気不味そうに言葉を濁すキヨ
いやいやいや…まさかこのタイミングで?!
なぜ今?と言う疑問はこの際置いておこう
ただこの雰囲気は、絶対アレしかない
ちょっと待って
思考回路が追い付かない!
なんだか変な汗が出るし
心臓がバクバクうるさい
キヨはちらっと私を見上げると、決心したのかまたひとつ息を吐く
そうして胸をときめかせながら待つ私に予想だにしない言葉を発した
「俺、実は…酔ってキスする女が嫌いで」
「!!!!!」
例えるなら頭を鈍器で殴られたような…?
いや、心臓をえぐられたような…?
いやいや、全身を切り刻まれたような…?
…むしろ全部一気に食らったような衝撃
そうだよね
愛の告白をしてもらえるなんて、どんだけ脳内お花畑なんだ私は
「ちょ…つばさ聞いてる?」
「き、聞いてません」
「はぁ?…まだ話続きあるから、とりま最後まで聞いて?」
続きって…
もうすでに瀕死なんですけど
未だ告白する前の男子みたいに落ち着かないキヨ
そんな可愛い雰囲気出して、この後どんな爆弾落とすつもりだちくしょう