第14章 鍋奉行 牛様/uszw
それからは何事もなく、楽しくお酒も進み、いい具合にお腹も満たされてきた
「はぁー、結構食ったなー。
そろそろ締めにする?」
「あ、うん。そうだね。
えっと…うどん、でいいかな…?」
ちらっとうっしーの表情を伺うと、何故か真顔
え、間違えた?!
ご飯派だった?!!
変な汗が出る
うどんかご飯かでこんなに緊張することがあるだろうか
…いや、後にも先にもきっとない!
どうか…うどん!うどん来いっ…!
祈るような気持ちで答えを待つ
目をぎゅっと瞑り、両手を胸の前で合わせる
ゴクリと唾を飲み込んだ時、うっしーが口を開いた
「…うん、もちろん。
うどん以外に選択肢ある?
…んー、てか結構腹一杯だから、少しでいいわ。」
締めの余力残しとくんだったなー、と残念がるうっしー
あの真顔はそう言う意味…?!
(若干イラッとしたけど)ほっと胸を撫で下ろし、うどんを一玉だけ入れた
火を強めてグツグツと煮込む
私もそこそこお腹いっぱいだったけど、見ていたら食欲わいてきた!
そろそろと思い、鍋に箸を伸ばすと、お奉行様再び登場
「…つばさよ…?」
「はっはいっ!?」
「卵は?」
卵…?たまご??
お互いの取り皿にはまだ残っているし…
……もしかして、卵を鍋に入れてうどんと煮込むってこと…?
牛様はどんどん煮込まれていくうどんを絶望的な顔で見つめている
ヤバい!
ヤバいヤバいヤバい!!!
次は打首獄門は免れない…っ!
焦りすぎてテーブルの脚で足の小指ぶつけたけど、
そんなことで時間をロスするわけにはいかない!
今日はうっしーにデキル女アピールをするんだって、心に決めてたじゃないか…!
とにかくキッチンへ
卵を!
卵を!!
誰か…
小指が…
痛いよぉ……
「つばさ?」
びくっと肩が跳ねる
あぁついに裁きが言い渡される…
その声色からは怒っているのか悲しんでいるのか予想がつかない
恐る恐る表情を確認してみると
美味しそうにうどんを食べている牛様
ん?
…食べてる…??