第13章 Happiness N×M
「ニノは…翔のこと好き?」
「えっ?あ、うん。もちろん好きだよ。よくなついてくれてるし」
「じゃあさ…その…」
潤くんが落ち着かない様子で、こめかみあたりをさすりはじめた。
何を言おうとしてるんだろう。
この沈黙に何だか僕までドキドキしてきて、胸が騒がしくなる。
言いたいことがなかなか言えずにモジモジしてる潤くんの姿なんて滅多に見ないし、すごく…
「可愛い」
僕が思わずそう呟くと、
「それ、さっき聞いたし」
潤くんが唇を尖らせた。
ん?
さっきのは翔ちゃんのことだったけど、潤くんが唇を尖らせてるのはどうして?
「僕がいま“可愛い”って呟いたのはさ、潤くんのことなんだけど」
「は?俺?」
いつもはカッコよくキメてる潤くんの、アタフタする姿もなかなかいいと思う。
「やっぱり可愛いよ、潤くん」
「可愛くなんかねぇし」
…なんかさ。
少し前にさ、こんなやり取りしてたよね。
潤くんが僕を可愛いって言って。
あの時、僕は…
なに言ってるの?って思いながらも、嬉しかったし。
潤くんはどう感じてくれてる?
それに…言いかけたままの潤くんの言葉の先も早く聞きたくなった。