第13章 Happiness N×M
潤くんがわからないと言っていた数学の問題も、思っていたより早く解けててホッとした。
まぁ、僕の教え方も良かったんだろう。
「ニノはやっぱすごいな」
「でしょ?」
…なんてね。
潤くんはね“何、この問題…”って苦手意識を持つと、早々に諦めちゃうところがあるんだよね。
だけど一旦ほかの問題に目を向けてみたり…
さっきみたいに翔ちゃんとやり取りしてみたり…
そうすると頭が切り替わるんだろうね。
ちゃーんと解けるのよ。
「翔。兄ちゃんな、ちゃんとできたぞ~」
潤くんが得意気に、翔ちゃんにノートを見せている。
翔ちゃんもノートをのぞき込んでるけど…わかってるのかなぁ。
「わぁ。じゅんにー、ちゅごーい」
「おっ。兄ちゃんすごいかぁ。翔、もっと言ってくれ~」
「もっとってぇ?」
ほらね。
いつもイケメン兄弟は2人の世界に入っちゃうんだから。
僕もその中にまざりたいなぁって思っていると
「ちょうだ!」
って、翔ちゃんがひときわ大きな声を出した。
「翔ちゃん?」
ビックリして声をかけると、翔ちゃんがニコニコしながら僕を見ている。
「ににょ、ちゅごいねー」
「えっ?」
「ににょ、じゅんにーにおちえてたー。じゅんにーうれちいってー。ににょ、ありがとねー」
「あ、うん。翔ちゃん、ありがとう」
そんなにほめられると、照れるんだけど。
いま、僕の顔は真っ赤になってると思う。
ほてりを感じていると、僕の頬にそっと誰かの指が触れた。