第13章 Happiness N×M
潤くんの家に着くと、玄関を開けてくれた潤くんを追うように、翔ちゃんが走ってきた。
「ににょ~!」
って叫びながら裸足で玄関に降りそうになったところを、潤くんにヒョイッと抱き上げられて。
もうね、潤くんの顔をじっと見ててさ。
本人は睨んでるつもりなんだろうけど…
その顔がまた可愛いんだよね。
だけど。
そんな翔ちゃんを愛しそうに見つめてる潤くんだって、可愛いなって思うんだけどな…僕は。
眉間に一生懸命シワを作る翔ちゃんに、耐えきれなくなった潤くんがプッと吹き出す。
「もうっ。翔、その顔やめろ」
「ぶーって、めっ?」
「そう。ぶーって、だめ」
「わかったー。じゅんにー、はだしでごめんねー」
「うん。翔はイイコだね」
僕を呼んでおいて、そっちのけにするなんてどうなのよ?って思うけどさ。
お2人さん、いまいち話が噛み合ってなかったでしょ。
クスクス笑ってる僕にやっと気づいた潤くんが、申し訳なさそうに頭をペコッとした。
「ニノ、どうぞ」
「ににょ、どーじょ」
「はーい。お邪魔しまーす」
このイケメン歳の差兄弟のやり取りは和むのよ、ホント。
僕はいつものようにリビングのテーブルに案内された。
お誕生日席には子供用の椅子があって、そこにはもちろん翔ちゃんが座り、僕と潤くんは向かい合わせで座る。
「で?潤くん、どこがわからないって?」
「えっと…ここなんだけどさ」
僕たちが勉強している間、翔ちゃんは絵本を読んだりパズルをして遊んでいる。
潤くんはさ、この空間に翔ちゃんがいるのは不満そうなんだけど…
僕は翔ちゃんがいてくれるから、気持ちが保たれてるんだと思う。
潤くんと2人でなんて…緊張して無理だもん。