第5章 STAY GOLD M×S
在校生に名前のバッジと花をつけてもらい、1年B組の下駄箱の前で自分の名前を探す。
「あれ?潤くんはB組じゃないですよ?」
中学からの友達がニヤッとしていた。
「そんなはずは…」
そいつと一緒に、もう一度クラスの一覧表を見てみる。
「…マジ?」
「だからマジですって」
どうやら俺は漢字1文字違いの『松木潤」という名前と見間違えたようだ。
「もう、潤くんは…くくくっ。あなたはね、A組ですからね」
「A組?」
「ほら、ここ」
指の先には、確かに『松本潤』の名前があった。
「あ、ありがとな」
そいつの”みんなには内緒にしておきますよ、今度おごってくださいね”なんて言葉は聞き流す。
俺はまず、バッジを付け替えてもらいに行った。
事情を話すと、在校生は笑わずに対応してくれた。
やっちまった…。
俺は1年A組の下駄箱の前で頭を抱えた。
「キミ、大丈夫?」
背中に優しく手がおかれる。
「あ、はい。大丈夫です」
ゆっくり振り向くと、
「あ、あ、あっ…唇の人…」
そこにはあの赤いぷっくりした唇の持ち主がいたんだ。
「く、唇の…人?」
不思議そうな顔で、その人は俺を見ていた。
ぷっくりした唇も魅力的だけど、色が白くて大きな瞳をしていて、すごく綺麗で。
「ねぇ、顔が赤いけど…キミ、本当に大丈夫?」
それでいてすごく優しくて。
「僕、職員室に行かないといけないから…具合が悪かったらちゃんと言うんだよ」
そう言って立ち去った唇の人は、男の俺でも惹かれてしまうほど素敵な人だった。
みんなから好かれるんだろうな。
もしかして『櫻井翔』も、こんな風な人なのかな…
そう思った。