第5章 STAY GOLD M×S
真新しい制服に身を包み、高校へ向かう。
生徒の登校は8時半。
入学式は10時からだから、親とは別行動になる。
正門を通り校舎の前に行くと、人だかりができていた。
在校生がクラス分けの一覧表を配り、クラスを確認できた人の胸元に名前のバッジと花をつけてくれているようだ。
俺も、受け取った一覧表に目を通す。
ここは男子校だから、ズラッと並んでいるのは男子の名前ばかり。
似たような名前もあるから、見間違えないようにしないと…。
「あった…B組かぁ。」
そしてもう1つ…キミの名前『櫻井翔』を探した。
「あっ…A組…」
クラスが違うことを何だか残念に思った。
もう一度見てみたが、やはり俺はB組でキミはA組。
何度見たってクラスが変わるわけじゃない。
それでもやっぱり気になり、一覧表を見ながら再び歩き出した直後
ドンッ…
誰かにぶつかってしまった。
「い…っ」
「ごめんっ」
咄嗟にそっちを見たけど、人だかりに押されて見失ってしまった。
だけど視界の先に一瞬だけ見えた、その人の赤いぷっくりした唇。
それが妙に俺の脳裏に焼きついていた。