• テキストサイズ

僕らの時間【気象系BL小説】

第3章 アオゾラペダル N×O



そうして迎えた体育祭。

「もう。二ノだめじゃん」

大野さんが珍しく、俺にお小言を吐いている。

スニーカーソックスを履いてきたことを怒っているようだ。

「この前さ、足首が赤くなっちゃってたでしょ」

「別に痛くなかったから大丈夫ですよ?」

「またそんなことを言って…」

あ…まずいな。

ちょっと機嫌がよくなさそうだ。

「あなたにまた心配して欲しかっただけです」

俺は正直に言ってみた。

「ば…ばかじゃないの。心配してやんないから」

大野さんはプイッとそっぽを向いてしまった。

…耳は赤いけどね。

櫻井先生が心配そうにこっちを見ている。

俺は大丈夫だよの意味を込めてニコッとすると、櫻井先生もニコッて微笑み返してくれた。



二人三脚に参加する選手たちの招集アナウンスが流れた。

集合場所に向かう途中でも、大野さんは目を合わせてくれない。

クラスメイトたちからは「頑張れ〜」って声援が聞こえてくる。

フゥ…

俺は深呼吸をした。

「大野さん。高校最後の体育祭ですよ。櫻井先生も勝つために俺たちを選んだって言ってました。クラスメイトたちも応援してくれてます。もしやる気がないなら、やめましょ。やる気があるなら頑張りましょ」

俺がそう言うと、

「やる。だけど、二ノはこれに履き替えて」

大野さんがズボンのポケットから、ハイソックスを取り出した。

「えっ…これ?長すぎません?」

「長いままじゃないよ。真ん中辺りで折り返して履くの。二重になるだろ。こんな風に」

大野さんが自分のズボンの裾を捲って見せてきた。

なるほどな…

「あなたなりに、やる気マンマンだったんですね」

「そうだよ。心配して欲しかったなんてふざけたこと言ってないで、さっさと履き替えてよ」

「ありがとうございます…さっきはごめんなさい」

「ふふっ。頑張ろうな」

今回は俺が悪かったなって思う。

靴下を用意してくれてたり、笑顔が見れて…すごくホッとしたんだ。





/ 87ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp