第3章 アオゾラペダル N×O
その中学校には、2つの小学校の出身者が通っていた。
中学校では先輩・後輩という立場があったり、授業では男女別で学ぶものがあったりして…小学校の時とは随分と雰囲気が違うなぁって、入学当初は戸惑ったりもした。
偶然にも俺は大野さんと同じクラスになって安心したし、当たり前のようにいつも一緒に行動していた。
“できてるのか”
“男同士なのに”
そんな言葉を夏休み前から言われるようになって、俺も大野さんも今まで通りではいられなくなった。
吹っ掛けられた言葉に対して
「そんなの、有り得ないでしょ?」
俺はそう答えてしまったんだ。
だって…
俺の中では本当の兄弟なんじゃないかっていうくらい大野さんは気があう人で…人として好きではあったけど、その他の感情なんて気にしてなかったから。
でも。
皮肉にもそれがきっかけで、俺は大野さんのことを意識するようになってしまったんだ。
程よい距離間、程よいスキンシップ。
そうすることで、俺たちのことをとやかく言う人も少なくなっていた。
そんな俺たちも、もう高3だ。
「もう二ノったら。頭が爆発しちゃったじゃん」
「あはは。手ぐしで直せますよ?」
「二ノがやってよ」
「甘えるんじゃないよ。ほら、教室に戻りますよ?」
「え〜っ」
いまだにブーブー言ってる大野さんは、すごく可愛いなと思う。
垂れがちな目で口を尖らせて…ついかまいたくなる。
だから、そこに恋愛感情があるのかどうか、自分でもわからなくなるんだ。