第3章 アオゾラペダル N×O
足首の紐を結び終わり、身体を起こしてホッとひと息ついた。
「結ぶだけで疲れたの?」
大野さんの手が、俺の腰から離れていく。
それがかなりさみしい…なんてね。
「だから急いで練習しましょ。体力がなくなります」
「相変わらずワガママだなぁ」
「あなたには言われたくないですけどね?」
「んふふ」
大野さんの左手が、遠慮がちに俺の肩に置かれた。
俺の右手は、大野さんの肩付近をさまよっている。
「二ノ?ちゃんと掴んでいいよ」
「大野さんだって…」
「じゃあ…」
そう言いながら、大野さんが俺の肩をガシッと掴んだ。
「いててててっ…」
「ほら〜、だから優しく掴んでたのに」
「今度は力入れすぎでしょ…こんにゃろ〜」
俺も同じように、大野さんの肩をガシッと掴んだ。
「いったぁ〜い」
大野さんが身をよじる。
「いててっ。大野さん、あまり動かないでくださいよ、俺まで足が引っ張られます」
「ほら〜そこの二人〜じゃれあってないで練習しろよ〜」
担任の声が耳に届き、ドキッとした。
最近は随分とこんな風に大野さんと接してなかったから…
自然とあの頃みたいになれたことに、自分でもびっくりしているんだ。