第3章 アオゾラペダル N×O
翌日の体育の時間。
前半は全体練習、後半は種目ごとでの練習が行われた。
俺の手には、足を結ぶ紐。
この紐で、大野さんの足と繋がるのかぁ…。
「二ノ?」
「あ、はい」
「足…結ばないの?」
「結びますけど…大野さんは右と左どちらにします?」
「ん〜おいら右側にいきたいから、左足結ぶ」
「はい、わかりました」
「だって、二ノ左利きだから…手を振って勢いづけるの左手のほうがいいでしょ」
「まぁ…俺は器用だからどっちも大丈夫ですけどね?」
「素直じゃねぇなぁ」
「ふふっ。気を遣ってもらってありがとうございます」
「んふふ。始めよっか」
二人の足を結ぶために身体を寄せあう。
トクン…
この距離間、いつぶりだろう。
胸がザワッてするのをかき消すように、足元に集中した。
二人の足の位置を合わせて、紐を結び始める。
「きつくないですか?」
「もうちょっときつくてもいいよ」
「わかりました」
結んでは解いて、また結んで。
それを何度か繰り返していると、段々姿勢が辛くなってきた。
そんなことを思っていたら
フワリ…
大野さんの手が俺の腰に添えられた。
この人のことだから、俺が疲れてきたことに気づいて支えてくれてるんだろう。
それはわかってはいるけど…
再び胸がざわつき、顔が火照るのを感じる。
腰もジンワリと熱くなって…
紐を結ぶ手にギュッと力を込めた。