第3章 アオゾラペダル N×O
体育祭まで2週間。
黒板には、参加種目と出場する生徒名がズラッと並んでいる。
「じゃあ二人三脚は二宮と大野で決定。みんな拍手〜」
担任の声とまばらな拍手。
拍手、要らなくね?
俺、二宮和也と彼…大野智は背格好が似ているからと、担任の推薦で二人三脚に選出された。
ゆっくり大野さんのほうを見る。
彼は机の上で手を組み、ぼんやりと黒板を見ていた。
「二人三脚、一緒になりましたね、大野さん」
10分休みになってすぐ、話しかけに行った。
この人、そうでもしないとすぐ寝ちゃうから。
「あぁ、二ノ。そうみたいだな」
舌ったらずな口調と今にも閉じそうな瞼。
「種目決まったんですよ?やる気あります?」
「んふふ、あるよ。よろしく」
ふにゃんと笑うその顔は、小学生の頃から変わらない。
アンタ、あと2年で成人なのに…くそ可愛いじゃねぇか。
あ、それは俺も同じかな。
大野さんとは幼なじみ。
だけど常に一緒に行動してるわけじゃなくて、付かず離れずな感じ。
まぁ、意識的にそうしてるんだけど…
この人はそんな俺に任せてくれてるとこがあるから、一緒にいてもラクなんだ。