第2章 Bittersweet A×M
(Mサイド)
今日はメンバーと一緒に収録がある。
マネージャーが送ってくれて、エレベーターホールに向かった。
閉まりかけ始めたエレベーター。
「乗ります、乗ります」
普段だったらそんなことしないんだけど…
中に相葉さんがいるのが見えたから、いても経ってもいられなくなって、思わずそう口にしていた。
再び開いたエレベーターに飛び込むようにして乗ると、相葉さんしか乗ってなくて。
これ、なんのサプライズだよ…
嬉しすぎるこの状況に、ドキドキが半端なかった。
俺に気づいて開ボタンを押してくれた相葉さんにお礼を言うと
「無茶はダメだよ?」
って。
たまに出す、相葉さんのお兄ちゃん感にキュン…とした。
「はーい」
なんて、つい可愛らしい返事をしてしまって恥ずかしい。
こんな俺を…相葉さんはどう思ってるんだろう。
そんなことを考えていると、相葉さんが何やら呟いてる気がしたんだ。
「何か言った?」
そう言って相葉さんを見た。
メンバーの中で、俺が視線を上げて見る唯一の人。
そしてメンバーの中で俺を見下ろす唯一の人。
二人きりの今、相葉さんの視線を独り占めしてるんだ…って、胸がいっぱいになった。