rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第6章 rain of teardrop-6
「――・・・はァ・・」
「・・・・」
自我が保たれていることが不思議だった。
別に記憶に障害が起きているわけでもなかったのだ、自分が誰なのかも、此処が何処なのかも、今どういう状況下に置かれていたのかも、名無しは全部分かっていた。
ただ、すべて分からなくなってしまえば、楽になれると思っていたのもまた事実だった。
「・・・ッ・・」
視線をずらすと、口元でツンと伸びた唾液がいやらしく縦に橋を作っている。
途切れるまで繋がりが出来ていたことそのものも嫌悪に感じたし、プツリと切れても、折角離れていた唇がまたいつ付けられることか・・。
情緒が狂うのも当然だ。
名無しはシルバーが出した精液を陰部で受け止めさせられてしばらく、言葉を発せないまま放心状態となっていた。
その猛々しい肉が外へ早く出てゆくのを望んだゆえの、せめて今の自分に出来た小さな抵抗の表れだ。
小暗い車内照明が、シルバーの耳元と、唇のピアスを淡く光らせる。
弱弱しいそれにさえ名無しは目を眩ませ、僅かに眉間に皺を寄せた。