rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第36章 the beginning of hell
「悪かったな、呼び出して」
「ううん……今日は別に大丈夫だったから…でも……あの」
「ん……?」
「……っ」
呼び出された名無しがシルバーの部屋に到着したのは、連絡を受け、ほどなくしてのことだった。
向かって、あと数分で玄関に……そんなタイミングでこちらからもメールを打つ。
その数分後には顔をあわせ、つまりはシルバーが玄関で名無しを迎えているということだ。
ただ弄ばれていた時期に同じ言動をとられていても、彼が浮かべる表情に、やはり今では大きく違いがあった。
名無しは玄関のドアが開いてシルバーのハグを浴びると、ゆっくりと広い背中に自らの腕を回した。
出された低い声色が紡ぐ些細な謝罪の一言さえ、別人のように感じる。
けれどそれは紛れもないシルバーの声だった。