rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第35章 the price of choice
「っ……え…?」
「……あーー…。面倒くせえから先に消してやるよ……ほら見ろ。入ってねえだろうが……言っとくがクラウドにも預けてねえからな」
「……なんで…先……」
「、……シケた面見てヤリたくねえんだよ…。それだけだ」
「ッ……」
「――あー…ったくよ……ほら、もういいか…?!納得したならそうだな……咥えろよ、今すぐ」
ここで今起きていたことが、頬を抓ったことで醒める夢ならば糠喜びで終わってしまう。
別に実際名無しは自らの頬に手を伸ばすことはなかったけれど、シルバーの操作する右手を見て、肩の荷がおりた気持ちを体験していた。
「……ッ」
動画を選択し、削除する一連の流れ。
そこからシルバーが移動させたのは、消されたデータを集めたフォルダだった。
その中身を、完全に無かったことにする作業を名無しの目の前でやってのけ、果ては信じられないような言葉を耳にする。
彼が、完全に自分に落ちている証拠と思っても問題ないだろう……ばつが悪そうに吐くシルバーの一言一言は、どこか余所余所しくも感じたし、照れさえ孕んでいるように思えた。