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rain of teardrop【黒バス/ジャバ】

第35章 the price of choice



「……?!おい……」
「ッ……ん……ぐ」


よくよく振り返れば、シルバーは一度、女に携帯を壊されていた。
それでデータが飛び、本来なら自分との連絡すらままならなかった。
そのときに動画を消失していたのは事実だし、マスターを含めたそれらは消えたとばかり思っていた。

けれど、結局は確かめもせずに独自に解釈していたゆえの勘違いだったということに名無しは気付くと、そこでふと疑問を抱いた。

では、シルバーは一体誰から、自分が失っていた動画を再びコピーしてもらい、それを度々見ていたか……。

名無し自身も件については、無意識に聞き出したことではあった。
シルバーも何気なく返答しており、動画の再入手そのものは、名無しには黙っていたことだった。

名無しがこのタイミングで当初のことを思い出したのも、何かの前ぶれか、それとも……。


「……、…ん……」


シルバーが自分の知らないところで再び動画を手に入れているその答えは、多分簡単だ。
頭によぎった瞬間、正直寒気もした。

けれど、それでもシルバーは、名無しが見たくないものを本当に抹消してくれた。

それも目の前ですぐに……。
名無しはそれが素直に嬉しかったし、俄かに恥ずかしげ、携帯を枕元に投げ捨てたシルバーに対し、自分なりにすぐ応えなければという使命感も、葛藤の中、自然と芽生えさせていた。
交換条件で出された案がいまの彼女にはとても軽いそれに感じたのも、応えたいと思う気持ちに拍車をかけていたのだろう。


名無しはシルバーの上肢をやんわり押すと、体勢を変え彼の横にぺたりと座り込んだ。
そして腰部の隣でそっと前屈みになると、望まれた行為は自ら、自身の口腔にシルバーを迎えた。
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