rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第35章 the price of choice
名無しはシルバーの折れように肩すかしを喰らい、全身の脱力感が否めず、その場で起き上がることが出来ずにいた。
挙句、会話の流れのなかで再び組み敷かれ、口付けられながら巧みに紡がれる。
その言葉は、簡単に頷いてはいけないものの筈だ……それなのに納得してしまったのは、そうまでしても最初の動画にいい思い出などひとつもなかったから。
今となってはどこまで共有され、消され、現時点で誰がそのファイルを持っているか定かではない。
それでもシルバーなら、一度は回したチームメイトの携帯からデータを消している筈だ。
あてにならずとも、元となったものは自分だけが所持し、その状態を保っていると信じたかった。
そう思えたのは、彼が自分に惚れていたから。
シルバーが持つデータさえなくなれば、もうあの嫌な記憶は、自分からもきっと消え伏せてくれよう……。
そのために新たに撮られることをゆるしても、身体をまた委ねることになってしまっても構わなかったのだから、なんとも恐ろしい話である。
そして。