rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第35章 the price of choice
「……!!わ…んんッ」
「ん……早かったな…迷子にならなかったかァ?」
「っ……なって、ない…」
「ハッ……んな素直に答えてんじゃねえよ…来い」
自宅を出た数十分後のこと。
名無しはシルバーの部屋の前に着き、そこで携帯を手に取って彼に到着の旨を知らせていた。
動揺なんて……と言いつつ、ここでも結局ハラハラとしてしまうのは、扉を見る度に様々な記憶が、鮮明に目の前に映るからだ。
嫌々来させられた時のこと。
嵌められて、不毛で理不尽な光景を見させられた時のこと。
二度と見たくないと思ったのは特に後者で、それから更に思い返すならば、あとはもう、それこそ忘れ去りたい件がひとつ――。